kurasi-juku vol.9

「民家」-造りたい・住みたい・再生したい

-「南海地震を考える」−
 今回は築造約250年になると推定される民家を再生した場所が会場です。もちろん見学会も行われました。テーマは話題の南海地震。地震地質学専門の高知大学理学博士・岡村眞氏を迎えて、南海地震の発生確率や防災対策について話を伺いました。
テーマ

場 所

日 時

講 師

南海地震を考える

香川県香南町 T邸

平成17年5月29日13:00〜16:30


高知大学理学部 理学博士
 岡村眞氏
■地震の起こるしくみ
 地球の表面は、「プレート」と呼ばれる厚さ数十キロメートルの巨大な板状の岩盤に覆われていますこのプレートは、年間に数センチメートルから十数センチメートルという、非常にゆっくりとした速さで動いています。
 土佐湾岸では、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む動きをしています。毎年毎年、2つのプレートの境界付近でひずみが少しずつたまります。ひずみに耐える力が限界に達した時に、引き込まれたプレートが急に元に戻ろうとはね上がることにより南海地震が発生します。
 南海地震が発生すると、高知県全体が大きく揺れますが、さらに、海底が上下することにより津波が発生します。
 南海地震は、これまでおおよそ100年から150年ごとに発生しています。前回の南海地震は1946年(昭和21年)に発生しました。地震の規模が小さかったので、エネルギーがまだ残っていると考えられ、次の南海地震は100年を待たず今世紀前半にも発生する危険があるといわれています。また、過去、棟南海地震と南海地震は同時または連動して発生しています。東南海地震の発生は南海地震にも関係があります。南海地震には、大きな揺れと津波が通常伴いますが、1605年の慶長地震の時は、揺れは小さかったものの、津波によって大きな被害が出ました。
■会場について

【再生後】

 讃岐の伝統的な形「四方蓋造り」といわれる構造の住まいです。東の土間を除いて約2/3が大正10年頃に火災により焼失しました。その時焼け残った部分はそのまま使い、焼失部分は当時再建したものです。焼け残った東の土間の部分は大変古く、推定300年前の築造と思われます。戦後、新建材の普及に伴い居住性を高めるために、アルミサッシを入れ、クロスを貼ってリフォームされていましたが今回、本格的にきちんとした工法で再生を行い居住性の向上と今後この先、100年も200年も残り、子々孫々に伝えるためにと、現当主のT氏の英断により再生が実現しました。
【再生前】